日本の医師から見たスイスでの妊娠出産(22)~赤ちゃんがお星さまをみている~
麻酔導入後は、余裕がありますので、助産師さんと気さくに話したりすることができました。
朝方になって、日勤の看護師さんに交代になりました。
このとき、産婦人科の先生も来られて挨拶してくださいました。
にしても、CHUVでのお産の医療者側の主役は完全に助産師さん。
特に正常にお産が進んでいる間は、ほとんど先生は現れません。
日勤の助産師さんも英語がお上手でした(よかったー。)
麻酔が入っていますので、その助産師さんとも世間話がすすみます♪
いかに前回のお産が辛かったか、トラウマになったことなどを話しました。
朝になり、主人にはいったん家に帰ってもらいました。
父にみてもらっている娘のことが心配だったからです。
これも、麻酔をしたおかげです。
麻酔無しであったら、まさかあの痛みに一人で耐える自信は全くありませんでした(特に日本語の通じない状況で)。
麻酔中はなんなら、ウトウトして寝落ちするくらい、痛みから解放されていました。
おなかもすきますが、麻酔中は食べ物禁止。お水だけOKでした。
子宮口4㎝程度のときに麻酔を導入しますので、特に経産婦の場合、そのあと数時間以内に出産に至ることが想定されていると思います。
しかし、そうはすすまないのが、私のお産なのです。
やはり陣痛間隔は短くなっていかず、インダクション(促進剤)が始められることになりました。
日本だとインダクションはかなり慎重で、平日の日勤の時間のみ。
量も必ずそのつど医師の指示で変えられる、という感じでしたが、こちらでは日勤夜勤関係なく、そしてこの日は日曜日でしたが普通に導入され、増減も助産師さんの判断でされていました。
助産師さんにあたえられた権限の範囲が広いと思いました。
インダクションしてもなかなかお産はすすみません(前回同様)。
でもそれは、助産師さんが内診したところ、回旋異常があるからだとおっしゃいました。
赤ちゃんはお産が進むにつれて自分で頭を動かしたり、体を回転させて産道を抜けてきます。
これがうまくいかないと、難産になります。
本来であれば、横向きだった赤ちゃんが、’うつぶせ’になって(母のおなかの中で母の背中を向いて)、産道に進んでいくところ、’あおむけ’になって(母のおなかの中でおなかを向いて)しまっているのです。
それを、助産師さんは「赤ちゃんがお空の星をみていて、お産が進みにくいみたいですね」とおっしゃいました。
なんてメルヘンな表現だ、と思ました。
「回旋異常」よりぜんぜんメルヘンで素敵ですね(笑)
回旋異常を直すために、分娩台の上に大きいバランスボールを置いて、その上に腹ばいになって乗るように言われました。おなかのでかい妊婦が分娩台の上のバランスボールに腹ばいで乗るって…。なかなかリスキー^^;
しかもそこでウトウトしてしまう私でした。