スイスのクリニック

日本人医師として、スイスの医療の現状を知るのは大変興味深いです。

 

幸い、家族みんなわりと健康な方ですので、あまり医療機関にかかることもないのですが、息子を妊娠したときの妊婦検診、生まれてからの乳幼児健診(+予防接種)など定期的に通っているものもあります。

 

<スイスのクリニックの良い点>

①時間がゆったりしている。

日本のように、大人数の患者さんを診ているわけではないので、一人の患者さんにつき、かけている時間が長いと思います。

先生とお話ししていても、せかされるようなことは、日本に比べて少ないように思います。

 

②お会計が後日、請求書で。

これは、とてもいいです。

スイスのクリニック受診は、まず受付の人に声をかけて、その後待合室に通されます。診察の順番が来たら先生が呼びに来て診察室へ。

診察などが終わると、それで終了。もう帰って良しです。当日はお会計がありませんので、会計待ちをする必要がありません。

日本では、会計待ちの待ち時間が長かったりしますよね。

処方箋がある場合も、診察中に先生が印刷してくれて手渡してくれることがほとんどです。

お会計は、後日請求書として自宅に送られてきて、銀行振り込みすることが多いと思います。

 

<日本のクリニックの方がいいかもと思う点>

①スイスでは、クリニックで働いている人が少ない。

日本のクリニックでは当たり前のことですが、たいてい、医師、看護師、受付(事務)の人がいますよね。

場合によってはプラスして検査技師、放射線技師がいるところもあります。

 

スイスでは、医師、受付の人、以上です。

むしろ、看護師さんが受付を兼務しているという感じかもしれません。

と言うのも、スイスの産婦人科クリニックで初めて血液検査を受けたとき、「さて、採血しますよー」と来た人が、受付の人だったことに大変驚きました。

 

でも、採血の腕は抜群、さすが、毎日何人も採血しているんだろうなという印象を受けました。

 

人員削減のためでしょうか。(スイスの方がよっぽど医療費が高いのですが)

それもこれも、時間に余裕のある予約の取り方なので、受付と看護業務を兼任できるのだと思います。

 

②予約が取りにくい。

日本では、小児科、内科など一般的なクリニックでは、初診の予約がいらないことが多いと思います。(もしくは、当日予約が可能な場合がほとんどだと思います)

スイスでは、急性疾患でも、予約を取らないといけません!

もちろん、本当の緊急事態では見てくれるそうですし、救急病院はいつでもオープンです。

でも、熱が出たとか、発疹が出た、などの場合、電話で予約を取らなければならず、場合によっては、二週間後の予約ということになることもあるそうです。

発疹も治っちゃいますね。

これは、上記良い点に書いた「時間がゆったりしている」ことと表裏一体ということになります。

どちらがよいのでしょうか。思うところはたくさんありますが。

 

スイスの医療事情のおもしろいこと(興味深いという意味で)、たくさんありますので、また書きたいと思います。