日本の医師から見たスイスでの妊娠出産(3)~二回目の妊婦検診~

スイスの妊婦検診は日本に比べるととても回数が少ないです。

日本の妊婦検診は、23週までが4週間に一回、24週から35週が2週間に一回、36週以降は週1回となっていると思います。

ただし、ごく初期は初診後1~2週あけて次の検診に来るように言われることも多いと思います。

 

スイスでは、これが、ずーっと4週間に1回です。予定日近くなってもそうです。

(もちろん、何らかの合併症や持病がある場合はこの限りではありません)

 

日本式に慣れた私には、やや不安になることも多かったです。

特に妊娠極初期は、流産する可能性も十分に考えられますし、胎動もまだまだありませんので、おなかの中で赤ちゃんがどうなっているのか、ずっと不安でした。

しかもスイスでは、クリニックの先生も十分な休暇をとりますので、私が初診を受けた後、先生が秋休みを取られる期間を挟みましたので、二回目の受診が初診より6週間あとになり、不安な妊娠初期を過ごしました。

 

これはある意味では合理的で、回数が少ない分、一回の妊婦検診にたくさん時間をかけてくれます。

日本ではエコーも含めて一回10分程度でしょうか。

あとの予約が詰まっているので日本のクリニックはせかせかしてしまうところが多いと思います。

でも、スイスではもっと時間をかけて話を聞いたり、エコーをしたりしてくれるので、健診の間は、ゆっくり赤ちゃんの様子を見ることができます。

 

そして二回目の妊婦検診の日がやってきて、無事に赤ちゃんをエコーで確認することができました。

もう経膣エコーではなく、経腹エコーでした。

(ですので、少し恥ずかしいスイスの内診台にはもうお世話になりませんでしたよ)

 

そしてスイスの妊婦検診のもうひとつユニークなところとして、妊婦に必要な栄養素を摂ることができるサプリメントを処方されました。

 

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含まれる栄養素は、

ビタミン : B1, B2, B6, B12, ナイアシン, パントテン酸, ビオチン, 葉酸, C, D, E
ミネラル : カルシウム, マグネシウム
微量元素 : 亜鉛, 銅, クロム, セレン、ヨウ素

です。まさに総合栄養サプリメントですよね。

 

もちろん、日本でも妊婦さんにこういった栄養素をまんべんなく摂取することが推奨されていますし、母子手帳等にもそういったことが書かれていると思いますが、これらすべてを意識して摂取するってなかなか大変なこと。

日本でもこういったサプリメントは売っていますが、それを買って飲んでいるという妊婦さんはかなり少ないのではないかと思います。

 

スイスのように、妊婦検診で処方してくれれば、絶対飲みますよね!

 

ただし、このサプリメントは鉄分が含まれていないものです。

というのも、私は一回目の妊娠の時にひどい便秘に悩まされたことを先生にお伝えしていました。そして幸いにも私、貧血はありませんので、便秘を助長しやすい鉄分をあえてはずしたサプリメントを処方してくださいました。

 

そのせいなのか、実はこのサプリメント100錠入り(一回2錠、一日一回内服)4000円くらいしますが、あとから保険会社に請求したところ、これはカバーされないとの回答でした・・・。

 

そういうこともあるんですね。

飽くまで保険カバーは、お産に関する必要最小限。このサプリメントは余剰なものと判断されたんですね。

ということで、このサプリ、自己判断でやめることもできましたが、せっかくなので、自費で最後まで続けました。