日本の医師から見たスイスでの妊娠出産(12)~新たなサプリメント~
妊娠中期から後期の頭にかけて、私は仕事に加えて、学位審査の準備で大変忙しくしていました。
スイスに住んでいますが、その頃はまだ、東京の大学の博士課程の所属でしたので、東京の大学での学位審査を控えていたのです。
学位審査の打ち合わせと本番とで、二回スイスと日本を往復しなければなりませんでした。
一回目は「がんばってきてね」と快く送り出してくれたDr Cでしたが、二回目は「え、また行くんですか。もうその次はなしですよ。」とややたしなめられました。(妊娠7か月後半でしたので)
でも、こちらがお願いしなくても、「念のため診断書を書いておくので、何かあったらこれを出してくださいね」と親切にしてくださいました。
私としては、どうしても学位審査を受けなければならなかったですし、行き先がほかでもない、日本ですので、なんとかなる、と言う思いでした。
(それでも、妊婦にとって望ましい環境ではありませんので、避けられるなら避けるべきと思います)
このころに、Dr Cに新たなサプリを処方されました。
以前にも書きましたが、あまりむくみやすくはない私ですが、やはり多少のむくみはあったみたいで、それに対して飲むように言われたものです。
マグネシウム製剤でした。
私が小児科医だからか、むくみ解消にマグネシウム製剤を出したこともなければ、出している先生も見たことがなかったので、これもやはり意外な処方でした。
でも、このマグネシウム、処方されたとき、「これはよかった」と思いました。
なぜかというと、私は一人目の時に、それはそれはひどい便秘に悩まされていたからです。
それが辛い思い出として深く残っていたので、どのように対策しようかと思案していたところでした。
そこにマグネシウム製剤をいただけましたので、良かったと思いました。
マグネシウムには、緩下剤の効果もあるからです(というより、日本では緩下剤として使うことが一般的です)
案の定、今回の妊娠で、便秘に悩まされることはありませんでした。
(むしろ、これを一包毎日飲んでいると、ゆるくなりすぎるので、減らして調節していたくらいでした)
スイスの妊婦さんに対する、早め早め、事前事前の処方はとてもいいと思いました。
栄養不足になる前にサプリ処方。
下肢の浮腫になる前の弾性ストッキング&マグネシウム
便秘になる前のマグネシウム。
日本では後手後手に回りがちかと思います。
あくまで、妊婦さんから便秘の症状を訴えられたら、便秘薬を処方する、というように。
(それだと、我慢強い妊婦さんなどには十分なケアが行き届かない可能性がありますよね)
もちろん、過剰医療になるのはよくありませんが、サプリくらいのものだと、過剰医療とは言えないでしょう。